(2016.06.19) 人間が神を作る話
綺麗な星なんて、知らない。
知っているのは、藍色に白を混ぜたような濁った色だけ。
ここに無数の星があるなんて、妄言もいいとこだ。
知っているのは、建物で区切られた細長い空と、濁った色。
大人たちはなくなったものをあるように語る。
すでにないものを、懐かしんで取り戻そうとする。
まるでそれを取り戻すのが、わたしたちの義務のように語る。
わたしたちはそれを見たことすらないのに。
虫の声なんて聞いたことない。
田んぼなんて見たことない。
草むらも、遊べる公園も、広い野原も、緑の山も、魚の泳ぐ清流も
空にあるというたくさんの星も
わたしは見たことがないのに。
初めからないものは、取り戻せない。
わたしは緑の草原のつくり方なんて知らない。
田んぼの作り方も、虫の作り方も知らない。
広い野原の作り方も、緑の山の作り方も、魚の作り方も、美しい川の作り方も知らない。
見たこともない、ここにはないものを作り出せって？
大人たちは、自分が神でも作ったつもりなのかしらね。
今の都会の子達にとって、自然を取り戻す運動とかってこういうことなんじゃないかな
緑の野原も田んぼも綺麗に見えていたはずの星空も、気づいたらなくなってた年寄りの考えることなんだけどね
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